
1979 年に発表された B&W 801 は、ロンドンの EMI アビーロード・スタジオをはじめ世界中のスタジオでモニタースピーカーとして使用されてきました。 1987 年に Matrix801 となり、途中 sries2、sries3 とマイナーチェンジして Nautilus801 が登場する 1998 年までの約 20 年間デザインを大きく変更されることなく生産されました。
Nautilus シリーズが発表された時、デザインや仕上げの素晴らしさに驚きましたが、価格帯や音色も Matrix シリーズとは若干異なっていたため現在でも Matrix シリーズを愛用している人は多いのではないでしょうか?
ウーファーとバスレフポートが化粧版で繋がったデザインは、当時の B&W 社のスピーカーを特徴づける大きなポイントであったような気がします。 Nautilus シリーズに一部このデザインを継承したものもありますが、基本的には新しいモデルに採用されていないのが少し残念です。
バスレフポートはプラスチックの化粧板でウーファーと繋がったデザインになっていますが、この化粧板は薄いプラスチックでできており、実際にこの化粧板を叩いてみると安っぽい硬質プラスチックの音がします。 バスレフポートの素材が音に影響するか否かは不明ですが Nautilus805 などはディンプル加工が施された立派なものとなっており Matrix801 の薄い塩ビ管のような筒とは雲泥の差を感じます。
バスレフポートは共鳴管なので筒自体を制振することは逆効果にならないか心配ですが、筒や化粧板自体の鳴きは悪影響にしかならないかな?と思い「ツイーターハウジングの鳴き止め」に引き続き、対策してみることにしました。
なお、試しにやってみようと思われる方は、くれぐれも自己責任においてお願いします。
特に化粧板はキャビネットに接着されており、なかなか外れません。無理に外そうとすると破損する恐れもありますので十分注意が必要です。
バスレフポートの化粧板を外すためにはウファーが邪魔なので先に取り外しておきます。
1.ウーファーを固定しているビスを緩めます。
オリジナルはゴムブッシュを介して黒いビスで固定されていたと思いますが、私のはステンレスのビスとローゼットワッシャーで直付けにされています。 このスピーカーの各ユニットのネジには規定の締め付けトルクがあるようですので、気になる方は外さない方が良いでしょう。
2.ビスは一度に全部外さず、1番下のビスは緩めるだけにしておきます。1番下以外は全部外します。
3.パッキンがキャビネットに固着していて、ビスを外すだけではウーファーは取れません。 そこで、外したビスの位置にボルトを軽くねじ込みます。
4.ボルトと取り付け穴の隙間にマイナスのドライバーを差し込みテコの原理で外しますが、1箇所だけでは上手く外れなかったので複数の場所で同じように作業する内に、ベリッという音がしてユニットが外れました。1番下のビスは外していないのでユニットが脱落することはありません。
5.次に、一度外した1番上を再度軽くビス止めします。
6.最後に、1番下のビス位置でも同じように作業すればユニットが完全に外れてきます。 1番上のビスを軽く締めているのでユニットが脱落することはありません。
7.ユニットを完全に取り外す前に隙間から手を入れてスピーカーコードを外します。 コードの長さに余裕はないので必ず先に外しておく必要があります。
8.完全にユニットを取り外した状態です。
キャビネットのマトリクス構造が見て取れます。 ユニットはかなり重いので一人で作業しない方が良いと思います。落としたら大変です!
9.これが Matrix801 のウーファーユニットです。
大きなマグネットが付いており、かなり重いです。
1.キャビネットの中を覗き込むとバスレフポートの筒が見えます。 化粧板にホットボンドのようなもので固定されているようです。
2.ダクトは化粧板に接着されていますが、上から手を入れてこじれば、わりと簡単に取れます。
3.問題はこの化粧板です。
かなり頑丈に接着されていて、なかなか外れません。 自動車の内張り外しを上から挿し込んだりしたのですが、無理をすると割れてしまいそうなので結局は手で少しずつ押したり引いたりして外しました。
4.1時間くらい悪戦苦闘して、やっと外れてきました。
5.2つとも外した時には筋肉痛と手のひらが真っ赤になっていました。
化粧板は良いとしても筒は共鳴管ですので制振することによる悪影響があるかもしれません。 叩けばカンカンと響く素材の鳴きは止めても問題ないかな?と思いますが問題があった時のことを考え、今後は簡単に取り外しができるように改造も行います。
1.自動車のドア用のデットニング材が余っていたので、これを制振材として使用してみようと思います。 材質はブチルゴムにアルミ箔が貼ってあるようなもので、制振効果は高そうです。
2.化粧板の裏についている両面テープを剥がし、制振材をはさみで切って化粧板の裏側に貼っていきます。
3.ダクトの筒には包むように貼ってみました。
貼る前に比べるとずっしりとして質感も別物のようです。
4.化粧板の筒の付け根の穴は隙間パテを入れて塞ぎます。
すきまパテはガムのような素材で硬化することもなく比重もあり良さそうです。
今後は簡単に取り外しができるよう改造も行います。
1.化粧板にちょうど良い出っ張りがあるので、ここにツバ付きの鬼目メナットを挿しこみ、エポキシ系の接着剤で固定します。 バスレフポートの取り付けは接着ではなくローレットビスで行えるようにします。
2.筒は今度は簡単に取れてしまわないようスーパーXでしっかり接着します。
3.接着剤が乾くまで、このまま 24 時間放置します。
1.とりあえずバスレフポートをキャビネットに差し込む。
2.ローレットビスとワッシャーで固定します。
3.裏側でビス止めしたところ。
これで今後は簡単にバスレフポートが取り外せます。
1.まずは、1番上のネジのみ軽く締めます。
とても重いので作業は一人でやらない方が良いでしょう。
2.隙間から手を入れてスピーカーコードを接続します。
上が緑で下が黄色です。極性を間違えないように注意します。
3.全てのビスを締めて完成です。

完成後、音出しして見ました。「ツイーターハウジングの鳴き止め」の時に比べると今回の対策の効果は微妙です。 苦労した割には大して変わっていないような・・・。よく聞くと低音が少し締まった感じにも聞こえないこともないですが、これはビスを締めなおした影響とも考えられます。また低音の階調が聞き取りやすくなった感じがする反面、量感が少し減ったようにも感じます。 ただ、次回からは簡単に外せるように改造しているので、しばらくはこのままにして様子をみてみようと思います。
この記事を見て実践される場合、ユニットやパーツの破損、紛失など、色々なトラブルも考えられますので、くれぐれも慎重かつ自己責任において作業するようにしてください。
その後・・・1週間くらい聴きこんでみたのですが、なんとなく低音が物足りません。バスレフポートにスポンジを詰めすぎたような味気ない感じです。
で・・・結局バスレフポートの筒の部分は制振材を剥がしてみました。
再度取り付け直して聞いてみると、微妙な違いなのですが、この方が私には心地良い感じです。やり過ぎは良くないようです。(>_<;) 少し緩いところがこのスピーカーの味なのかな?と思います。